トパーズの逸話~11月の誕生石~

知っていると誰かに話したくなるような歴史を紹介する誕生石の逸話連載。今回は11月の誕生石、「トパーズ」の逸話のご紹介。

宝石の歴史の中では、異なる種類の宝石が混同されていたり、正式な名称とは異なる名前で親しまれていたというのは、しばしば確認されています。

 

古来よりルビーとして文献に記されていた宝石を、現代の成分鑑定に掛けると実際にはガーネットやスピネルだったなんてことがあったり、

はたまた、タンザナイトやレインボームーンストーンのように、本来の名称とは異なる呼び名が流通名として浸透していたり・・・

 

11月の誕生石トパーズにも、古来より人々に親しまれていた逸話が残っています。

 

トパゾス(探し求める)と呼ばれた宝石

 

11月の誕生石の一つ、トパーズ。

イエロー、オレンジ、ブルー、ピンク、クリア、インペリアルなど多彩なカラーを持つトパーズですが、代表カラーは実は、黄色です。

そのため、トパーズの和名は『黄玉(おうぎょく)』といいます。

 

 

トパーズという名称の由来は、主に二つ。

一つ目は、サンスクリット語の火を意味する「トパス」から。

おそらく、宝石の色をもとに名付けられたという由来です。

 

もう一つは、ギリシア語で探し求めるという「トパゾス」から。

こちらの由来は、当時のトパーズの採掘方法がもととなっているようです。

 

トパゾス島での宝石の採掘方法~ウソかホントか不思議な逸話~

 

エジプトとサウジアラビアの間にある紅海という海。

紀元前の頃、この紅海に浮かぶ、とある島には沢山の宝石が眠っており、後にトパーズと呼ばれる宝石はこの島で採掘されていました。

※画像はイメージです

 

しかし、この島はいつも深い霧に覆われており、たどりつくことが非常に困難な場所でした。

 

探しても探しても見つからない島。

宝石の採掘者達からはそんな島を、ギリシア語で topazos =トパゾス (探し求める) と呼んでいました。

 

そして、この島を含む紅海の島々ではユニークな方法で宝石の採掘が行われていたそうです。

 

 

トパゾス島で採れる宝石は暗闇で光ると言われていて、採掘は夜と昼に分けて行われました。

 

日が沈むと採掘者たちは島のあちこちに出かけ、光っている場所に目印を置いていきます。

そして、翌朝に目印を置いた場所へ向かい、宝石を拾い集めて帰ってくるのです。

 

しかし、誰でも簡単に宝石を採掘できたかというと、そうではありません。

この島は、エジプト王に支配され、監視人たちが厳しく見守っていたのです。

島の住人はみな宝石の採掘者でしたが、石はすべてエジプト王の所有物とされました。

許可なく島に近づいたり、上陸した者は処刑されたといわれています。

 

 

現実には、トパーズが夜になると光るという性質は残念ながらありません。

しかし当時の夜は、現代と違って電気も無く真っ暗な闇の中です。

 

繁華街では見えづらい星も、光を放つ街灯が無ければ見えやすくなるように、

真っ暗な闇の中で、月明かりに照らされたトパーズが、キラキラと光って見えたのではないでしょうか。

 

ともあれ、このトパゾス島という名前から、そこで採れた宝石はトパゾスと名付けられ、現代のトパーズという名前になったとされています。

 

 

しかし、大きな問題が一つありました。

 

トパゾス島で採掘される全ての宝石をトパゾスと名付けてしまったのです。

なんと、現代でいうペリドットも同じ島で産出されていたため、全く色の違うトパーズとペリドットの両者を同じようにトパゾスと呼んでいたそうです。

 

そのため、様々な古い文献に記述されているトパゾスという宝石は、現代のトパーズとペリドットのどちらを指しているのか定かでないそうです。

 

 

トパゾス=トパゾス島で採れた光を放つ宝石、という認識だったのかもしれません。

また、先の採掘方法も実はペリドットの採掘方法だったのではないかとも言われています。

※ペリドットも少ない光でも輝く宝石で「夜会の宝石」として親しまれていた過去があります。

※暗闇でもキラッと光るペリドットのイメージです

 

 

しかし、いずれにせよ古くからトパーズが親しまれていたことは事には変わりありません。

不確かなことが多い部分にかえって、古来より親しまれていたという印象が伺えます。

 

 

トパーズは、太陽神の象徴/紳士の象徴

 

 

古代エジプトでは、黄金色のトパーズは太陽神ラーの象徴としてお守りの役目を持ち、人々に親しまれていたと伝えられています。

 

紀元前三世紀には、当時のエジプト王・プトレマイオス二世の母ベレニケ王后の命により、トパゾス島から巨大なトパーズの塊がエジプト王家にもたらされました

プトレマイオス二世はその宝石を気に入り、その塊から妻アルシノエ二世の像を作り、アルシノエ神殿と名付けた聖域に奉納しました。

この像はなんと、高さ2メートルもあったといわれています。

 

 

この逸話からもわかるように、トパーズはエジプト王家で女神を象る高貴な宝石として愛されていたようです。

 

 

 

一方古代ギリシャ・ローマでは、トパーズは紳士にこよなく愛された宝石でした。

多彩なトパーズの中でも、黄金色に輝くトパーズが特に好まれ、必ずといっていいほど紳士の指にはトパーズの指輪が着けられていたそうです。

 

この時代、指輪を着けることと、<ダクティリオカ>という指輪を保管するための宝石箱を所有することが紳士の嗜みであり、条件とされていました。

そして、持っている指輪の数で紳士の位を競い合っていたとか。

 

アレクサンダー大王の少年期に3年間、教育係として仕えたとして有名な哲学者・アリストテレスもまた、そんな男性のうちのひとりです。

なんと彼は、すべての指に着けきれないほど、いくつもの指輪を着けていたそうです。

 

それを注意したのが、彼の師であるプラトン。そのことが原因でふたりは不仲だったとも…。

そんなプラトン自身も、たくさんの指輪を着けていたとされています。

 

二人とも学問だけでなく、ファッションでも流行の先端を行くリーダーだったのですね。

 

トパーズの宝石言葉「友愛」「希望」

 

トパーズの一般的な宝石言葉は「友愛」ですが、トパーズを肌身離さず持つことで真の友人も愛も一生涯離さずにいられると、古来より信じられています。

友情も真実の愛も手に入れることが難しいことから、「探し求める」に語源を持つトパーズが選ばれたのかもしれません。

 

結婚16周年記念日を黄玉婚式(=トパーズ婚式)といいます。

16という数字の記念や、一生離したくない幸福の記念にトパーズに希望や想いを込めるのも素敵ですね。

 

▼トパーズを使ったサムシングブルーコーデ ~スタッフブログ~

『結婚式とサムシングブルージュエリー』

 

 

ブルートパーズ

トパーズのクリアで優しい色合いは、コーデに華を添えるポイントカラーになります。

いつものコーデにぜひ加えて楽しんでみてくださいね

 

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K18「ブルートパーズ セーラ」リング / K18「ブルートパーズ バース」リング

 


 

 

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