今回はジュエリー作りのかなめ、
原型の製作についてです
まずこちら
ジュエリーCADです
デザインをPC内で3次元画像にして
3Dプリンターで出力します
建築でもなんでも
いまはこれですから
モノ作りにかかわるかたには
おなじみですね
ジュエリー専門のCADソフト
日本ではだいたい2種類が使われています
ふつうのPCだとパワー不足ですから
グラフィック処理機能を追加しています
これが3Dプリンター
一昔前はこの10倍くらい大きかったんですが
いまは小さくなりました
CADの利点は
なんといっても、スピード
手作りで三日かかっていた原型が
半日〜1日
スキルとデータを蓄積した人だと
もっと早い
時間=コスト、ですから
1点ものも早く、安くできるようになりました
設計の変更もカンタン
石枠の形を変えたり
リングのウデの形やうねりなど
いろいろためして
イメージを変えるのもかんたん
細かい設計もCADならでは
爪の細さ、石枠の正確さも
以前では考えられません
技術の進歩に
すんごく助かってますし
CADのおかげで
デザインの幅も広がりました
CADがなければ
極小ダイヤをラインで並べる
こういうジュエリーはできません
でも、CADができれば
こういうジュエリーが作れるか、というと
ちょっとちがって
顕微鏡下でダイヤをセットする技術とか
ダイヤのカットや色をそろえるスキルとか
そういうことができてはじめて
CADが生きてきます
昔の職人は
とくにウデのいい人は
ひとりで仕事をする人が多かったのですが
今は、複合技術が必要です
また、昔の工房は、
原型の専門
石留め専門
磨き専門、など
ある工程に特化していました
親方がスペシャリストだったからです
でも今は、
組織のパワーがないと
こういうジュエリーは作れないんです
便利になったからって
すべてCADで作るわけじゃありません
これは手作りの場面です
どうして?って思いますか?
いろいろな理由がありますが
まず、
手作りならではのデザインがあります
CADでもできるけれど
手作りの方がきれい
そういうデザインもあります
手作りだと、CADみたいに
ラインがすっきりしません
微妙にずれが生じています
それがなぜか温かみを感じさせるんです
デザインによっては
その温かみが大切なんです
また、CADだけではジュエリーになりません
角を丸めたり
微妙な流れを調整したり
そういうCAD+アルファが
ジュエリーに息吹を与えます
ときどき、
新興のショップブランドさんの製品が
CADだけでできているのを目にします
カタいんです
もうひと手間、それがたいせつです
これはCAD+手作り
<モーダ・リング>
これは完全な手作り
ジュエリー作りは
すぐできるようにはなりません
職人の育成はもちろん
ダイヤのエキスパート
検品などなど
すべてにスペシャリストが必要です
そして工房の姿勢
製作したジュエリーに
それらはすべて出てきます
近道は、残念ながら、ありません
ありがとうございました