丁寧に、真摯に、誇りをもって。
伝統と信頼、そして古くから培われた職人の技の光る研磨技術。
長年オレフィーチェの石の仕入れを担当しているバイヤーが「ここと取引をしたい」と強く願った工房に、話を伺ってきました。
~3代目社長の息子、カールフィリップさんと工房の前にて~
母なる大地の美を引き出し、表現することは人の手でしかできない。
――100年の歴史がある研磨工房だと伺いましたが、どのようなこだわりや信念をお持ちですか?
私たちは一族で経営をしており、今年で100年になりますが、ずっと変わらずに大切にしている事は「母なる大地の美を引き出し、表現する」事です。母なる大地から与えられた貴重な資源である宝石の原石を、美しい輝きを放つジュエリーへと変貌させる。大地は原石を生み出すことはできますが、美しく研磨する事はできません。
私たちは、原石を研磨するという大自然が不可能なことを、私たちの手で行い、そしてお客様のもとへお届けする。それが信念であり、そして使命であると考えています。
また、天然石は、非常に多種多様な色を私たちに見せてくれます。
最初は石ころのような原石が、どんどんカットされ、徐々に素晴らしく魅力的な宝石やジュエリーへと変化を遂げていくのを見るのはとても楽しく、やりがいを感じます。
~荒削りした状態の未完成の石。これから研磨作業へと移る~
技術、そして信頼
――「職人」と呼ばれるには、どれくらいの年月が必要なのでしょうか?
今この工房には3人の職人がいて、2人は修行中で学生です。1日学校で技術を学び、残りの4日はこの工房で作業しながら腕を磨いています。
大体3年ほど修行をしてから、お客様のオーダーされた石をカット・研磨するようになりますが、明確に何年、というのはないですね。
そこには個人のセンスや才能が絡んできますから、特に難しいカットなどに関しては、何年やってもできない人もいますし、早いうちから難しいカットができる人もいます。
私たちは完成した石への検品を細かく行うことで、一定のカットの美しさの水準を保っています。例えば20個石のカットのオーダーがあったら、実際には100個くらいカットして、より美しいカット・品質を求めることもありますね。
――この仕事で、最も大事なこととは何でしょうか?
この仕事で重要なのは、信頼関係です。
特に原石の納品業者や、炭鉱の関係者と親しい中を保つことが重要になってきます。
技術ももちろん大事ですが、心のつながり、信頼を深めることがなによりも大切です。
信頼し、信頼を得ることで、お互いより良い関係になり、いい取引ができます。
そうやって私たちは絆を深めあって100年間続けてきたのです。
工房で出会ったのは、信念と誇りをもって宝石に向きあう、熱い想いを持った職人。
彼らの熱い想いを胸に、より素敵なジュエリーを作ることを決意しました。