ジュエリーの価格とその価値

社長の中村です。

 4月27日より一粒ダイヤネックレス32製品の価格を大幅に値下げすることにしました。実に最大34%の大幅値下げです。今回価格を下げましたが、その価値は変わらないということをお話ししようと思います。

※2023/11/09追記 値下げ対象商品にエタニティリング、チェーンリングなどが加わりました。詳しくはこちらをご覧ください

材料価格の高騰

 オレフィーチェをオープンしてまもなく14年になろうとしています。2009年の7月、オープンした時の材料価格と2023年4月26日現在を比較すると金相場は2.8倍、よく使用されるメレサイズのダイヤも2.5倍〜3倍の価格になっています。毎年少しづつ値上がりしていましたが、2019年末から急上昇し、最近でも最高値を更新しています。プラチナは金と比較して価格は一時期大きく下がりましたが、2023年は上昇しており、何より割金に使うパラジウムが約10倍になってしまったことでプラチナ1000よりプラチナ850の方が高いという逆転現象が起こっています。ネックレスチェーンでは強度を保つためにプラチナ850を使用しているためPt950のみを使用しているリングに比べて割高です。

金相場の高騰

オレフィーチェの価格設定

 オレフィーチェでは開店当初よりK18のジュエリーをより身近に感じてもらうため、量産メーカーをグループに持つ強みから、材料を大量に安く仕入れ、中間コストを廃し、店舗も事務所の一部と共有することで最小限の利益率で価格設定をしています。特に、一部の商品では「おためし価格」という設定でメーカーとオレフィーチェ合わせて利益率10%以下という設定をしたこともありました。パッケージに包んで送料無料で発送し、決済手数料を払うと赤字になってしまうレベルです。

 そのため材料の価格に大きく変動があった場合、売価を維持するのが困難なのです。原材料価格の高騰に伴ってオレフィーチェでは何度も価格改定を実施し、現在では販売価格も2009年の1.5倍〜3倍となってしまいました。

 現在では約800種類の製品の中、お試し商品という明確な区分は設けておりませんが、お客様が一つ目に選ぶであろう商品は利益率を低めにし、製造工程を見直して品質を下げずに、買いやすい値段を設定するよう勤めてまいりました。

 しかしながら、ブランド立ち上げ当初の利益は度外視してもオレフィーチェを認知してもらうという姿勢が今こそ必要なのではないかと思う事態が今起こっています。

コロナ後のジュエリー需要

 コロナ禍による外出自粛や物価高騰に見舞われたこの3年間でジュエリー離れが思った以上に深刻な状況であることが浮き彫りになりました。2018年の時点ですでにモノからコトへの消費者心理の変動が起こっていました。それがコロナ禍により、一時的にインターネットショッピングバブルが起こりコトからモノへの逆流が起き、私たちはその流れに気づくのに遅れてしまいした。

 2022年のクリスマス商戦ではコロナも落ち着き、外出規制が緩和されたところに物価高が直撃したことで、ジュエリーが選択肢から消えてしまったようです。リピーター様には新製品や限定品、GIAアップグレード、特徴的なデザインの製品をお楽しみいただき、売上数量、売上額で前年を上回りましたが、ご新規のお客様の一つ目のジュエリーとして我々が考えている製品

  • 0.2ct以下の一粒ダイヤネックレス
  • 横一文字(バー)タイプのダイヤネックレス
  • シンプルで細めなエタニティリング

これらが前年比で1/5程度しか売れていないのです。業界内でも定番品が売れないという情報をよく聞いています。クリスマスプレゼントや自分へのご褒美に、高額なK18ジュエリーは選択肢に入らなくなっているのかもしれません。

お試し価格再び

 材料価格の高騰によりジュエリーファンになるきっかけが少なくなり、買いやすいものはすべてシルバーやK10製品だけになってしまうのではないか。私たちが目指した誰もが楽しめるK18ジュエリーというものが幻想になってしまうのではないか。

 このような危機感から今回の値下げは原点に立ち帰り、まずは手にとってもらい、ジュエリーを身近に感じてもらうため、一つ目に選びやすいデザインの一粒ダイヤネックレスを手にとってもらえる価格を先に設定しました。具体的には0.05カラットで税込2万円以下、0.1カラットで税込3万円以下、0.15カラットで4万円以下といった価格です。全てではありませんがこの範囲に収めるため、あらゆる手順の見直しを行いました。材料相場が戻らない限り利益は見込めませんが、工夫をこらし品質を変えずに製造しています。K18&ダイヤモンドジュエリーの良さをより多くの人に感じていただければ幸いです。ギフトや自分へのご褒美にもお選びいただけることを願っております。

ジュエリーの価値とは

私見ですがジュエリーには価値を決める4つの要素があると考えられます。

  1. 工業製品としての価値
  2. 希少性がもたらす価値
  3. ブランド価値
  4. 思い出の価値

今回の値下げでの価格は下がりますが、製品の価値は全く変わらず、またたくさん愛用していただくことで4の価値を何倍にも感じていただけることがジュエリーの良さだと思っております。ぜひ多くの方にジュエリーを体験していただきたく思います。

 以下はそれぞれの価値の説明とオレフィーチェの考え方です。興味のある方はぜひご覧ください

1.工業製品としての価値

 製品の価格は原材料価格、製造コストに粗利益を何%とるかで決められます。衣類や電化製品、などと同じくジュエリーも工業製品です。商品の粗利率は各ブランドの考え方や商品の位置付けによって決まります。製造をする会社、卸売をする会社、小売をする会社が別れている場合はそれぞれの会社で決められた割合の利益を確保するため売価が高くなる傾向があります。ジュエリーの場合製造、大卸、問屋、小売店の4段階になっている場合も多く、その場合いわゆる定価は製造原価の3倍以上になることがあります。

 一般的に原材料の価格は毎日変動しますが、小売商品の価格は毎日変動することはありません。どこかで吸収することになります。原材料価格が高騰しても価格を据え置いている場合は原材料の調達コスト、製造コスト、利益のどれかを下げる必要があります。立場の弱い製造に近い会社が値上げできずにコストを飲むようなことが行われることもあります。

 オレフィーチェの場合、製造メーカーがグループ企業のため、製造に必要な原材料を仕入れてもらいますが、原材料価格は時価で計算しています。2020年以降、頻繁に価格改定を行っているのは原材料価格の変動に対してクッションになる中間業者がないためです。

 さて、工業製品としての「価値」とは何でしょう。私たちは材料の価値にプラスされる技術の価値であると考えます。原石のカットや鋳造、石留め、磨きなど全て高い次元で行われていればそれだけ価値は高まります。ジュエリーと他の工業製品との違いはデザインや機能耐久年数が長いことが挙げられます。他のアパレル製品や家電製品では新しいデザインや新機能が追加されると旧製品は値引き販売され、価値は0に近づいていきます。ジュエリーの場合は定番のデザイン、普遍的なデザインで10年以上販売されることが普通で価値の下がりにくい工業製品と言えます。

2.希少性がもたらす価値

 人気グループのコンサートチケットなどが高値で転売されることなどがよく問題になります。欲しがっている人に対して流通量が少ないと価値が高まります。

 元々希少な材料を使っているわけではなくても昔のおもちゃや車などがコレクターによって高値で取引される製品としての希少性です。誰が使用したかなども希少価値を高める要因です。

 ジュエリーの世界では元々使用する材料に希少価値があります。主な材料である金の埋蔵量や、ダイヤの流通量などが突然増えることはなく、いつでも誰かが欲しがっているものだからこそ価値があります。当社でもたまに扱う限定品の石などは、鉱山の閉山などで供給がなくなることでより価値が数倍〜数十倍になることもあります。今は材料価格が高騰していることから、買取店などで購入した価格以上で売れることもありえることです。オレフィーチェがオープンした2009年7月と2023年4月現在の価格を比較すると金は2.8倍、最もよく使用される0.1カラットダイヤは同じ品質で約3倍になっています。これは欲しがっている人に対して金もダイヤも不足しているために起こっています。

3.ブランド価値

 全く同じ材料でもどのブランドが販売するかによって製品の価格は変わってきます。世界的な有名ブランドと国内有名ブランド、ショップオリジナル商品、ネットショップ専売品などで全く価格が違います。ブランド価値は工業製品としての価値にプラスして顧客に信用と満足感を与えます。

 他のジャンルの製品の場合高級ブランドでは贅沢な素材をふんだんに使用して品質を高めることができますが、ジュエリーの場合はK18はK18、ダイヤは4Cでグレーディングされることからそれほど大きな違いがないように思えます。材料コストがあまり違わないならばブランドは何で信頼と満足感を与えるのでしょうか?

 オリジナルの特徴的なデザインを生み出す有名デザイナーの雇用や購入者の満足感を高める店舗の立地や内装、スタッフの雇用や教育、大規模な広告キャンペーンなどは所有する満足度につながります。私たちのようなファクトリー系のブランドでは、知っていただかけなければ購入していただけないため、ネット広告を出しますが、その規模が全く違うのです。ブランド価値を高めるために投資される莫大なコストが製品の価値を高めているとも言えます。

4.思いの価値

 ジュエリーだけではないと思いますが、ジュエリーは特にギフトで送られることが多い商品です。送る側、受け取る側双方の思いがこもって他には変えられない価値を作っています。またオレフィーチェの製品を買われるお客様は自分へのご褒美で買われることが多く、初任給や初めてのボーナス、子供の進学や資格取得などの記念に購入される方がたくさんいらっしゃいます。

 スマホやパソコンなど家電製品や流行の洋服でしたら最新のものと交換してもらえるなら喜んで交換しますが、ジュエリーの場合は変えが利かないものが多いのではないでしょうか。

 もちろんファッションとして新しいものが欲しくなってメルカリ等で出品される方もいらっしゃると思います。私たちはそのような楽しみ方も全く否定しません。もしジュエリーケースの中でもう使わない、手放しても惜しくないジュエリーがありましたらぜひメルカリ等への出品をお試しください。次のユーザー様のもとで楽しんでいただけたらジュエリー好きの輪が広がり、オレフィーチェとしても嬉しく思います。(その際には保証書も一緒にお渡しいただけるとサポートも引き続き受けられます)

 私たちの不注意で思い出の価値を暴落させてしまうこともあります。店舗で十分なサービスが受けられなかったり、製品に不良やお届け日が記念日に間に合わないなど残念な思いが価値を低下させてしまいます。

 オレフィーチェでは、ネットショップだからこそ、店舗以上に十分な説明と情報の開示、店舗以上のサポートを心がけております。長年愛用いただいたお客様への5年に一度無料メンテナンスと新品仕上げサービスも、思いの価値を高めるためのお手伝いだと思っています。

 オレフィーチェのジュエリーがたくさんのお客様の思いと共に価値ある存在であり続けることを願っております。

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※アイテムの価格は記事公開日時点のものとなっております。

  1. オレフィーチェの昔を思い出しながら拝読いたしました。
    私がオレフィーチェを知った30代
    素晴らしいダイヤの質と18金、プラチナに拘った量産的でデザインもよいジュエリー販売に驚き、0.1→0.15→0.2と一粒ダイヤネックレスを増やして、ピアスにリング。
    オレフィーチェさんのジュエリーが私の入り口で今でも変わらず愛用して、可愛い姪っ子に譲ることもできました。
    あれから年月が経ち、貴金属やダイヤモンドの暴騰で昔が信じられない昨今、このような決意と企業努力
    血の滲むような努力を微力ながら応援しております。
    女性のジュエリーの接点、入り口から最後まで寄り添ってくれるオレフィーチェさんであり続けて下さい。

    1. maoon様
      応援の声ありがとうございます。
      オレフィーチェのジュエリーを長く愛用していただき、さらに姪御さまにもお使いいただけるとは、ジュエリー販売の冥利に尽きます。
      改めてお礼申し上げます。皆様に支えられていることを忘れず、これからも1つ目として選ばれる、そして長く使っていただける良品質なジュエリーを作り、届けてまいります。
      引き続きよろしくお願いいたします。

  2. 何度か購入しております。ありがとうございます。
    気に入ったネックレスは、仕事以外で服装に合わせて度々付けています。デザインが本当に気に入っていることと、品質が素晴らしいので、何処に行くにも自己満足で幸せな気持ちになるからです。
    この度、中村社長のジュエリーに対する思いや商品としての位置付けを拝読し、知識を得たと同時に感動しました。素人に分かりやすく、業界の事情を教えてくださり、ありがとうございました。
    ジュエリーは気軽に買える商品でほありません。ですが機会があれば、是非御社から購入させていただきたいと心より感じたこちらの社長の文章でした。

    1. M.T.様
      いつもご利用いただきありがとうございます。
      応援の声をいただき大変うれしく思っています。
      売り手としては大変苦しい値下げですが、応援の声をうけて今後も続けていけるよう
      より一層の努力をしてまいります。

      気軽に買える値段ではないからこそ長く愛用していただきたく、
      また、M.T.様のように幸せな気持ちになっていただけるジュエリーが多くの方の元に届くよう、
      価格だけでなく製品の質やデザインの面でも頑張ってまいります。
      今後も引き続きよろしくお願いいたします。

      中村

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