2019年のクリスマスの限定商品に使われている「ペリドット」と「アクアマリン」
はじめてルースを見た時、思わず感嘆のため息をついてしまったほど、
それは美しく輝いていました。
このルースは、どこから来たのだろう。
なぜ、こんなに輝くのだろう。
その輝きの秘密を探るため、このルースの故郷
ドイツ・イーダーオーバーシュタインをスタッフが旅してきました。
~山々に囲まれた自然豊かな『宝石の街』イーダーオーバーシュタイン~
山の中の静かな街は、熱い想いを持つ職人たちの街
日本からは飛行機と電車を乗り継いで約15時間ほど。
四方を雄大な山々に囲まれているイーダーオーバーシュタインは、ドイツの中でもルクセンブルクやフランスに近い位置にあり、フランクフルトから特急電車で約2時間のところにある、人口は3万人ほどののどかな街。
山間部に位置しているため、気温は少し涼しげで、大自然が生んだ爽やかな風が吹いていました。
イーダーオーバーシュタインは、15世紀半ばにめのう鉱山が発見されたことをきっかけに研磨の技術が発達し、宝石産業の中心地として発展してきました。
そして今でも世界の宝石取引の中心として、その洗練された素晴らしい技術でカットされたルースを世界中に送り出しています。街の中には古くから続く老舗から新しい工房まで、多くの工房がひしめき合い、日夜職人が技術を磨いています。
このことから『宝石研磨の街』として知られ、街の中心の広場にある地球儀のモニュメントには、宝石の街にふさわしく本物の宝石が使用されており、街のシンボルとなっています。
~本物の宝石が飾り付けられているモニュメントは、この街のシンボル~
宝石との暮らし
宝石の原石やルースを販売しているショップや、宝飾店が軒を連ねているため、歩けば常にどこかのショップに出会える街、それがこのイーダーオーバーシュタイン。
この街の約10%の住人は宝石の分野の産業に携わっていて、その他の多くの産業も宝石産業から何らかの影響を受けているほど、宝石産業は身近な存在。カットや研磨などの宝石産業のほか、特別なジュエリーのためのパッケージを製造する会社など、宝石にかかわっている職種は多種にわたっています。
また、職種のみではなく、なんとアクアマリンで作るジン(お酒)が飲まれているほど、宝石が暮らしの一部として溶け込んでいるのです。
そして、ここイーダーオーバーシュタインでは、一般の見学者に公開されているヨーロッパ唯一の宝石鉱山で宝石採掘の体験ができたり、ここでしか手に入らない宝石柄の切手が発行されているほか、なんと原石が岩肌の表面に表れているスポットがあるなど、宝石が街中に溢れています。
世界中の宝石が集まる宝石博物館
~博物館の入り口横には、なんと本物の巨大な原石が!~
イーダーオーバーシュタインの街中にある「ドイツ宝石博物館」は、世界中から集めた希少な宝石の原石や、カットしたルースを約1万点収蔵しています。
個人の邸宅を再利用した建物の1階から3階まで、すべて宝石で埋め尽くされ、建物の美しさもさることながら、まるで美術館のように美しい展示が魅力的。
オーソドックスな宝石のほか、クローバーのような模様の入っているめのう、様々な宝石に施されたカメオに、南アフリカで取れた500カラットのダイヤモンドなど、ここでしか見ることのできない貴重な宝石は、まるで「私を見て!」と語り掛けるようにきらきらと輝きを放ち、私たちの心をつかんで離しません。
研磨技術の歴史をたどる展示では、昔の過酷な加工の様子や、加工の手順などを学ぶこともでき、自分の手元にあるジュエリーがどれほどの価値を持っているのか、再認識することができる貴重な場所です。
~博物館の中には、世界中から集まった貴重な石が収蔵されている~
豊かな自然と伝統が紡ぐ街・イーダーオーバーシュタイン。
世界の宝石産業の中心であるこの街は、
古くから築き上げてきた職人たちの想いが詰まっていました。