2ヶ月ぶりにインドにいます
去年は9回ムンバイにきました
今年はほぼ毎月くるつもりです
円が上り下がりで安定しないので
ズルしてまとめ買いしないで
必要分だけ買うつもりです
今回はGIA鑑定書付きダイヤも買います
むかし、インドでは手でカットしていたので
こういう高品質なものはインドじゃ買えなかったんですが
今は機械でカットしますし、
南アフリカや中国、タイなど
いろんな国でカットしてます
ムンバイは集散地化しつつあります
GIAダイヤに限らず
かなり高度なカットでも
インドで仕入れることができます
そのせいで
イスラエルやアントワープは
かなり寂れていますね
ダイヤの世界は
インド人なくしてまわりません
さて、
GIAダイヤの仕入れは
ふつうの材料もののダイヤの仕入れと
まったく違います
まず、こういう物をあつかうダイヤ屋さん
多くはサイトホールダーっていう
ダイヤの元締めみたいなところへ行きます
ブローカーは持っていませんし、
持っていても少なすぎてダメ
そこで、欲しいダイヤのスペックを言って
リストにしてもらいます
Oreficeの場合ですと
*Gカラー以上
*VS〜IF
*0.3ct〜0.4ct
*カットはエクセレントのみ(EX)
いつもは研磨や対称性も3EXだけですが
今回は選択の幅を広げるために
この2項目は
VG(VeryGood)も少し混ぜました
そして大切なのは
*蛍光性 Noneのみ
これに関しては以前も書きましたが
3EXにこだわるより
蛍光性のほうが、個人的には、重要だと思います
蛍光性があると安っぽく見えるからです
で、
出てきたリストがこれ
表裏に印刷されて、つごう6枚
こっから選ぶんですね
タイトル部分だけアップでお見せしますね
細かく説明したほうがいいかな?
左から、
整理番号
形(今回は丸だけ)
ct(4C)
サイズ分類(バイヤーはこれを言うことが多いから)
カラー(4C)
クラリティ(4C)
直径
横幅
高さ
ハート&アローが取れているか
カット(4C)
研磨状態
対称性
蛍光性
鑑定書の発行機関名
ラパポートの値段(米ドル)
ラパポートからの値引率
ctあたりの値段
1ヶの値段
鑑定書の番号
直径に対する高さの割合
直径に対するテーブル径の割合
ガードルの厚さ評価
読むだけで疲れますね
今回から、「ハート&アロー」も
追加されました
これって日本だけの基準かと思ったら
最近は中国でもこれで売ってるんだそうです
何て言っても、中国人の買いはでかいですから
中国人の要求はインド人も動かします
欧州のバイヤーも
アントワープではなくてムンバイですから
鑑定機関もHRDかGIAか選べます
圧倒的にGIAが多いのですが
このリストから
スペックと値段で選んでいきます
選んだら現物を見て
品質を確認します
そして値段交渉
そうはいっても、値段は
取引量と支払い条件で決まります
ここもふつうのダイヤ取引と違って
ラパポートの標準価格からの
値引率(ドロップ%といいます)で交渉します
ここで「ラパポート」ですが
ダイヤの取引価格を毎週リリースする会社です
アメリカのユダヤ人の会社です
必要な会社は年契約します
これです
このラパポートのレポートは
サイズと品質、色でおおまかな値段を出していますが
実際の取引価格よりもかなり高めを示しています
プロ同士の取引では
ラパのリストから何%引き、というふうに
ラパの値段が取引の基準です
DカラーやIFのように
数が少ないものは
ドロップ率が落ちます
Oreficeは上得意向けの価格から
さらに2ポイントダウンです
インド人が言うには日本人最安値
ほんとかどうかは知りませんが
ウチの価格はほかの業者には
「言わないでくれ」
値段のファイトのとき
ほかのバイヤーがいると
ウチの担当は
「ほかの部屋に行こう」
といいます
以前、
ダイヤの輸入業者がウチの値段を知って
ディーラーに「値段が安い」って
怒ってましたが
ダイヤ価格は
仕入れの条件や年間取引量、
で値段は決まります
ダイヤ屋さんには
メーカーより安く売るべきっていう
日本人の論理は通用しません
ウチは個人のダイヤ屋さんよりも
量を買ってるから
安くてあたりまえですし、
また、重要なのは、買い方
ウチは決まった品質をまとめ買いします
GカラーアップのSI+VSミックスのロットだけ買う
ダイヤ屋さんは
なるべく多くの顧客をかかえて
リスク分散しようとします
その結果、
買う品質を同じにできないので
まとめ買いできず、
いろいろなサイズや品質を
「つまみ食い」せざるを得ません
わたしの買い方は
つまみ食いしないで
なるべく残さないように
残してもディーラーが後処理しやすいような
そういう買い方をします
だから安くてあたりまえです
値段は論理の帰結です
ここまででおわかりのように
ダイヤの世界はGIAとラパポートが基準なんです
中国も日本の影響で「ハート&アロー」鑑定が
幅を利かせはじめていますが
あまり「ハート&アロー」に意味はありません
ただ値段が高いだけ
GIA鑑定で3EX取れていても
「ハート&アロー」は別なんです
むしろ、これを取るためにムリにカットを歪ませている
そういう場合があるので
GIAでカット評定がEXではなくても
「ハート&アロー」は取れます
でも、カスタマー担当さんがいうには
お客様の「ハート&アロー」要求はある、
そうなので
今回、自説を曲げて、ちょっと仕入れました
日本で鑑定を取って
GIAと並列で販売するつもりです
値段が高くなってしまいますが、
ちょっと試してみます
ナマステ
ありがとうございました
GIAダイヤモンドに関する過去の記事はこちら
バイヤーの裏話「ハート&キューピッド2」
バイヤーの裏話「鑑定書の読み方」