まだムンバイです
今回は、「ダイヤのサイズ表記」を
ご説明申し上げます
ダイヤは大きさが
ひとつひとつ違います
おなじように見えても
カットも大きさも
みんな微妙に違います
原石がすでに高価ですから
「歩留まり」=原石からいかにロスなくカットするか
が研磨工場の利益に大きく影響します
原石からの「石取り」、
原石からどこを削り、どこを残すか
傷や内包物を避けて
なるべく大きく研磨する
この見極めがダイヤモンドの命だそうです
それでも
原石の40%は研磨の段階で
粉となって消えて行くのだそうです
そうやって研磨されたダイヤは
特に0.2ct以下のサイズでは、
直径の大きさをそろえて
さらに品質をだいたいそろえて
ロットを作り
ロットで取引します
直径は「ふるい」でより分けます
ダイヤ専門のふるいを「シーブ」といいます
こういう金属製のふるいを使って
サイズを分けるんです
この表を見てください
Oreficeの工房で使う
プロのための早見表です
左の3列がシーブの目の細かさを表します
最小が0000です
「000〜00」とは
00のふるいでは落ちて
000では落ちないサイズ、
という意味です
「−00+000」とも表記します
その右の列はこのサイズの「平均ct」
その右は「直径」です
注意していただきたいのは
ダイヤの場合、直径をそろえても
一つ一つの重さは
それぞれ、微妙にちがいます
なぜかというと
カットの良し悪しが
重量に影響するからです
さきほど、
原石からの歩留まりの話をしました
歩留まりをよくするためには
カットのよさが犠牲になります
原石の形は人間のつごうとは別だからです
一般に低級品ほど、
カットを犠牲にして「重く」カットしますので
直径が同じでも、重くなります
この表はかなり品質がいいダイヤのものです
一般のダイヤではもっと重くなります
よくある「0.1ct」
Oreficeの「ヌード」ネックレスでは
実際のダイヤの重量は
0.100ct〜0.130ctです
(製品のカラット表記は最低の0.10ctで統一しますが)
直径でいうと「12.5〜13.5」くらいですが
低品質では「11.5~12.5」くらいです
お客様からいただくレビューに、ときどき
「比べるとおおきい」
とのご感想がありますが
Oreficeではカットにこだわってますから
じっさい、大きいはずです
もう一度、表をごらんください
ムンバイでの取引では
2よりも小さいサイズを「マイナス2」
2〜6.5を 「スター」
6.5〜11を 「メレー」
と呼んでこの分類でまとめて取引します
ですから、「メレー」サイズのなかの
「7.5〜8」だけを買う、ということを
一般にしません
ですから、
このサイズだけを大量に買うことのむずかしさ、
をなげいていたんです
日本での取引は
なんでもあり、です
サイズを区切っても、まとめても
値段はかわりませんし
1pcでも買えます
そのかわり、ムンバイの相場から
10%〜30%
輸入業者の手数料が乗ります
もうすこし、細かく話しますと
実際はロットを全部買うわけではなくて、
「Rejection」といって
10%〜50%を
ロットから外させます
ロットが全て同じ品質で
そろっているわけではないからです
たいがいの場合、ロットのなかに
色が悪いもの
キズの多いもの
表面に穴があいているもの
カットが悪いもの
が混じっています
そこから、必要な品質になるように
いらないものをはずさせるわけです
一般に、
品質が上がればロットも均質になり、
質が悪いロットは混じりけが多いものです
ダイヤの場合、
特別安いロット、はありません
彼らは「プロ」です
かならず、相場に沿った取引をします
相場を知らないがために
もしくは、
交渉が思うに任せないために
高く買う、ということはあっても
安くは買えません
相場で買えれば、上出来と思うべきです
もし相場から安ければ、
何らかの「落とし穴」がある、
そう思った方がいいです
ですから、ジュエリー製品でも
同じ流通経路ならば、
かならず品質と値段は比例します
日本でも「不動産に掘り出し物なし」
といいますが
ダイヤも同じです
ダイヤモンド取引は
たずさわる人が少なく、
完全にプロの世界です
お客様をダマそうと思えば
いくらでもできます
安い理由を説明せず
「安いですよ」
と、売ればいいんです
同業者でも、やろうと思えば
カンタンです
ダイヤのプロってほんとに少ないですから
でも
だからこそ「信頼」を
わたしたちは大切にするんです
信頼を得るからこそ
仕事に誇りを持つことができて
進歩し、成長できます
安易な販売は停滞を招くでしょう
ちょっとわかりにくいですけれど
これがダイヤ仕入の基本です
次回は、写真で、
ダイヤモンド取引所入り口から
実際の交渉テーブルまでの
順路をお送りします
ありがとうございました