7月には毎年、
創立記念ジュエリーを作ります
今年のテーマは、
プラチナとオパール
プラチナが安いことは以前お伝えしました
で、今回はオパールです
前々からスタッフから
「オパールを限定で」って
言われてたのですが
わたしは拒否ってました
どうしてかっていうと、
オパールって仕入れも取り扱いも
むずかしい宝石だからです
オパールっていろいろあります
ホワイト・オパール
ブラック・オパール
ボルダー・オパール
変わった物だと
メキシコ・オパールってのもあります
ぜんぶ基本的に水分を含みます
以下は
オーストラリアにオパール鉱山を持つ
ドイツ人専門業者から
20年くらい前に聞いた話です
オパールは採掘してから
原石で10年寝かすもの
寝かして水分を抜く
オパールは水が抜ける過程で
ヒビ割れが出ることがあるので
そのヒビが出切ってから
カットする
寝かさないとユーザーの手に渡ってから
ヒビ割れが出る可能性が高い
そういうものだそうです
ところが、
寝かさずカットしたオパールが
市場に出回り始めました
ヒビ割れ分を見越さないので
歩留まりがいい
だから、安い
約半値
知らない人は、
もしかしたら知ってても、
安い方を仕入れます
で、良心的なオパール業者は
高額品だけに特化せざるを得なくなって
普及品は撤退
その結果
ふつうに使えるオパールは
寝かしてない可能性があります
だから触りたくない
それに、
オパールは柔らかいので
ちゃんと取り扱いを説明して
販売したい
つけっぱなしって
問題外です
そういうむずかしい宝石
それにもう10年以上
オパールを仕入れてないので
相場感もわかりません
でも今回
「少数限定でホワイト・オパールなら」
やってみようってことになりました
で、ホワイト・オパールを探したんです
まず日本で
ところが、ない
なぜか、ない
あるのはキレイじゃない安物か、
もしくは「エチオピア産」オパール
どうしてか、オーストラリア産の
ホワイトオパールがみつからない
しかたがないので
バンコクでも探しました
バンコクは宝石の一大集散地です
インド系
中国系
地元系の
宝石業者がうじゃうじゃいます
ちょうど展示会が開催されていましたので
その会場内で探しました
ところが、
みんな「エチオピア産」オパール
30業者ぐらい
ぜ〜んぶエチオピア
だ〜れもオーストラリア物を持ってない
あまりに見つからないので
「エチオピア」で妥協しようかなって
思い始めたんですが
その「エチオピア」物を持ってるのが
全員インド系
アフリカの宝石は
インド系の業者の独壇場ですが
な〜んかヤな気がしたんです
で、バンコク市内に戻って
JTCっていう
宝石屋さんだけが入居してるビルがあるので
そこでまた探し始めた
でも、やっぱり、ない
ぜ〜んぶ「エチオピア」
知り合いに聞くと
「エチオピアのほうが安いし、きれい」
「だから今はエチオピアしかない」
妥協しようかなって気になって
エチオピア物を見始めたんです
そしたらそのなかに
黒や赤に
ベースを染めた「エチオピア」オパールがある
「これってトリート?」
(Treated:なんらかの処理がなされた宝石のことです)
「そう」
「かんたんに染まるよ」
くわしく聞いてみると
エチオピア産は
色水につけておくだけで
かんたんに染まるらしい
ってことは
エチオピア・オパールはジュエリーにすると
汗や化粧水でも
かんたんに染み込んでしまうから
変色する可能性が高いってことです
興味半分で「エチオピア」物を買って
実験してみたんです
ビニール袋に水を数滴たらして
エチオピアを入れて
ひと晩寝かしてみました
水につける前がこれ
ひと晩たって、出してみたのがこれ
び〜っくり
でも安いんです
6mm*4mmが 300円しない
オーストラリア物の1/10以下
だから
マーケットにはエチオピア産しかない
バンコクでも
日本でも
オーストラリア産ホワイト・オパールを
探してもないわけがわかりました
わたくし、安いオパールを
非難するつもりはありません
これだけ安ければ
製品も安くなる
そういうアクセサリー的な
そういう市場に向けたジュエリーもあります
エチオピア・オパールは
ぱっと見
オーストラリア物より、キレイ
安くてキレイなんだから
ホンモノのオパールを
アクセサリー的に楽しめるんだから
わかってて購入する分には
まったくいい製品だと思います
ただ、長く使うジュエリーには
本物を楽しむには
Oreficeには
エチオピア・オパールは向かないと思います
おそろしいのは
インド人業者は、そういう情報を
開示しません
自分に都合が悪いことは、話さない
だからこのエチオピア産の特徴を
知らずに仕入れている人も
いるかもしれません
かく言うわたくしも、
あやうく仕入れるところでしたし
「オーストラリア物は売れ残りしかない」
「値段はエチオピアの10倍だぞ」
さっきの知り合いですが
あるなら、最初から言えよって
みたら、あった
キレイなのもあった
「でもカリブレートじゃないよ」
(規定サイズからはずれてるって意味です)
(宝石、特に半貴石は規定サイズにカットされていることが多く
規定外サイズは使いにくいので売れ残る傾向にあります。
今回のは、品質で売れ残っていたのではなく
規定外サイズだから売れ残っている物も多かった)
今回は、6mm*4mmの
規定サイズを使う予定だったんですが
しかたないから
なるべく近いサイズを選んで
石枠を石に合わせます
枠を合わせるのは
手間がかかるので
本当はやりたくないのですが
いつ頃の石か聞いてみると
「10年は経ってる」
というのでヒビも出る可能性は低いでしょう
これが今回使う
オーストラリア物
5個だけ限定で販売します
ほんとは5こじゃ原価割れもいいとこ
作らない方がマシなんですが
そんなこと言うと企画担当者に
また怒られますので・・・
お気に召した方
オパールを楽しみたい方
いかがでしょうか
エチオピア産みたいに
かんたんには吸水しませんので
変色は起こりにくいのですが
お使いになられた後は
しっかり汚れをふきとって
そのまま放置はしないでください
長い年月の間には経年変化が起きる可能性があります
また、
オパールはやわらかい宝石です
お取り扱いには十分注意をお願いします
今回はわたしも勉強になりました
***ご注意ください***
このブログで使用したオパールの写真は
色の変化をわかりやすくお見せするため
背景に「黒」を使用しています。
オパールは背景により見え方が大きく変わる宝石です。
背景を「白」にするとベースの色はわかりやすいものの最も遊色効果が分かりにくく、きれいに見えません。
もしご購入をご検討いただける場合、下の写真をご参考いただけますようお願い申し上げます。
18金にセットした場合は、「白」「黒」の中間に見えるのが一般的です。
ありがとうございました